トンネル内での調査


 表調査による地山の状況を念頭におきつつ、トンネルの内部を目視を基本にして調査し
て、トンネルの安定度を判定します。
 原則として非破壊・微破壊試験の手法により調査します。
 
          

 上の2枚は水路トンネルの事例です。断水して内部から水が退いた後に行います。当社が調
査を行う昔の水路トンネルは、左の写真のような小さい断面のものが大半です。屈みながら
時々ヘルメットを擦りながら調査しています。また、水が深めに残っている(凹凸状況によって
は膝くらいまで)場合もあり、歩くのが大変です。

  

 上の3枚は道路トンネルの事例です。交通規制をかけて、高所作業車を使って行います。水
路とは異なり、供用中に小さなコンクリ片が落下するだけでも大事故になるので、違った視点
での調査が必要です。その他、排ガス粉塵で空気が非常に悪いこと、交通規制は大半が夜間
であること、など、水路と違った大変さがあります。

 以下に、弊社が行っている代表的な調査手法を記します。
 これらの調査手法は、下記の基準書などにも詳しく記載されているので、必要な方はご覧ください。
 「変状トンネル対策工設計マニュアル」 (H.10 (財)鉄道総合技術研究所) 
    <図の出典を明記していない場合、本書より引用>
 「トンネルの維持管理」 (H.17 (社)土木学会)


○目視・打音調査
 トンネル壁面の変状状況を記録します。各種機関のマニュアルに準拠した書式(展開図)へ
の記録を行います。
 あわせて、ハンマーでコンクリートを叩き、その打音の具合で、コンクリートの厚さや品質、そ
の裏面の空隙状況を推定します。スイカを叩いて熟れ具合をみるのと原理は同じです。なお、
この打音診断を自動的に行うシステムも、道路や鉄道トンネルで開発されています。
  
  目視調査の道具たち 
   懐中電灯+ヘッドライト(LED)
   防水防塵デジタルカメラ
   平尺、コンベックス等
   ハンマー、長柄の点検ハンマー
   耐水チョーク+黒板
   耐水記録用紙+耐水ボールペン
   ノギス、クラックスケール
  
 近年は、デジタルカメラ(CCDカメラ)を用いての、帳票/展開図作成や、ひび割れ解析を行う
こともあります。左写真は水路トンネル内での、右2枚が道路トンネル内での、壁面連続撮影
の状況です。
    


○電磁波法 (レーダ探査)
 コンクリート表面から電磁波を発振し、その伝播状況によって、コンクリート内の埋設物(鉄
筋、鉄骨、埋設管など)や、コンクリート性状(躯体厚、内部空隙)、そして、コンクリート背面の
情報(空洞や崩積土の有無など)を調査する手法です。
 この調査は非常に有用であり、今日では、トンネル調査において必須項目に近い形でお勧
めしております。
 しかし、結局のところ非破壊試験なので、百発百中で当たるわけではありません。時々、期
待感の高さや解析図の綺麗さと、実際の精度との落差により、「レーダ探査なんて当てになら
ない」と全否定されてしまうことがあります。残念であるとともに、我々技術者の説明不足を痛
切に反省させられます。
 弊社が携わるレーダ探査は、単なる試験技術に止まらず、地質/コンクリートの知見を最大
限に生かして、精度向上に努力しております。

   


○内空変位測定
 トンネル断面を細かい精度で測定することを、数ヶ月〜1年程度毎に定期的に繰り返すこと
によって、変状の進行状況(進行速度)を監視します。図のとおり、測定ピン同士の間隔を鋼
尺で測るという極めてローテクの手法ではありますが、弊社の得意技術のひとつです。

  
(図の出典元、「岩の試験・調査方法の基準・解説書-平成14年度版」(地盤工学会)中、
「地盤工学会基準JGS3711-2001岩盤の内空変位・天端沈下測定方法」より )

 もともとはトンネル掘削時(NATM工法)の施工管理の時点だけに用いられていた方法を、そ
の後の維持管理の時点にも適用し始めたことや、半永久的な測定の継続に耐えうるように測
定ピンの工夫を加えるなど、千田が約30年前からパイオニアとして取り組み続けてきたもので
す。なお、上図の基準は、近年に後付けで制定されたもので、それとて施工時のみの規定に
過ぎません。
 今日に至るまで、多くのトンネル・測点で、貴重な測定実績を積み重ねてきております。この
ような実績を有しているのは、おそらく弊社のほかにごくわずかと思われます。(偉そうに言っ
ていますが、守秘義務遵守のために、大きな声で発表できないのが泣き所です^^;)。
 測定の継続実績に加えて、それを±0.1〜0.2mm程度の高い精度で行えているのが、当社た
る所以です。この精度を保持するのためには、様々なローテクの工夫を施していかねばなりま
せん。近年は光波測量機やデジタルカメラ撮影などによる断面測定手法もあるのですが、精
度はミリメートルどまりです。そんな事情もあってか(?)、意外にも、トンネル評価において変状
速度というのは重視されていないのが実情です。
 当社らは、この技術をベースに、すぐさまの対策に拘らない”測定監視”という評価軸を全面
に押し出して取り組んでいます。
 最近、この機械の読み取り部をデジタル化する開発が進められており、現場での試用や改
良意見の提供によりそれに協力しております。近々販売される見込みです。


○クラックゲージ測定
 クラック(ひび割れ)の両側に固定点を打って、その間隔をノギスで測定することで、クラック
幅の開口の進行状況を監視する手法です。
 
   

 こちらもかなりのローテクで、昔からやられています。とはいえ、ひと工夫しないと、きちんとし
た測定とならないことは、内空変位測定と同じです。
 このほか、クラックの両端に専用測定計器を設ける、デジタルカメラで撮影して解析する、な
どの手法もあります。


○測量調査(平面線形測量/縦断測量など)

  

 地表調査のページで述べているように、トンネルと上部の地形/地質との関係は、トンネル安
定を議論する上で重要な要素です。そのため、トンネルの平面的な位置を調べる線形測量
や、縦断標高(高さ)を調べる縦断測量などを行います。水路トンネルの場合には、水理条件
の検討のために実施することもあります。
 そんなこと、建設の時に測量しているだろう・・と思われた貴方は甘い。今日の日本の施工事
情からは考えられないのですが、、昔に作られたトンネルには「地図のどこを通っているのか
わからない、そのような資料がない」 というケースが、未だに多くあります。 
 道路などで行っている測量と、作業の本質は同じです。ただ、暗くて狭くて水も流れているよ
うな環境ならではの苦労があり、工夫を要します。


○コンクリート診断調査
 トンネルが変状する原因としては、上部の地形/地質などの原因(外因)によるものに加え
て、トンネルの覆工コンクリートのみが悪くなっている(内因)という場合があります。
 後者について、コンクリート診断調査の手法によって調査を行います。


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